僕の幸せは、星をめぐるように。


ライブ後、2人でシートゾーンに戻った。

すぐ先にあるメインステージでは、ちょうどアンコールが終わったらしく、お客さんの歓声が渦を巻いていた。


たぶん、ユカチンとクニオはあの輪の中にいるはず。


「良かったね、スターフィッシュ。わたしCD買っちゃおうかな~」

「曲もいいし、勢いもあって良かったね。ライブバンドって感じ」


などと、ライブの感想を言い合っていると。


――ドン!


と、バスドラムの音を何倍も大きくしたような爆発音が、

鼓膜と体と心の中をぶるっと揺らした。


「あ、きれい……」


ちょうど荷物を片付けながらシートに座っていたわたしたち。


空を見上げると、緑や赤、黄色の大きな花が、上がっては消え、重なっては消えていった。


今日のタイムテーブルが全て終了し、一日の最後を彩るこの花火。


打ち上げられる度に、地面をも揺さぶる低音と、

まわりからのおお~、という歓声が広がっていく。


わたしはそれをぼーっと眺めながら、立ち上がった。


阿部くんも、

「今ごろ、クニオ頑張ってるのかな~」

と言いながら、わたしの隣に並んだ。


そういえば――。


『終わったら花火あるらしいじゃん。クニオくん、そこでですよ。さりげなく……』

『きゃー! それ絶対やばいって!』


わたしは、昼間のこのやり取りを思い出した。

うお。そうだった!

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