僕の幸せは、星をめぐるように。
「でも、あん中で手つなぐのって結構大変そうじゃん? 人でぎゅうぎゅうだし。こーんな……感じ?」
と、わたしは言いながら、阿部くんに肩をぶつけてみた。
軽く、わたしたちの手の甲は触れ合う。
ちょっとドキっとしたけど、
おっと、これは事故。事故。
「ライブ後だし2人の間に人がいるかもね。こうやって、からの~」
そう言って、阿部くんも、肘で人ごみをかき分ける真似をしながら、わたしに手を伸ばした。
花火が打ち上がる音と同時に、わたしの心臓の音も跳ね上がる。
阿部くんの手がわたしの指に触れた……
かと思いきや。
「クニオだし、緊張してスカってそうだよね。あはは」
わたしの指先を滑らせるように握った後、その手は空気をつかんでいた。
夜空に大輪が咲くとともに、カクっとわたしはずっこけそうになる。
って、何これ!
この花火のロマンチックなシチュエーションもあって、
阿部くんと触れるたびに少しずつドキドキが増していく。
楽しいんだけど、この微妙な手の距離がもどかしくもあった。
「いや、意外とヤツはやる時はキメる男なはず。直球勝負で! てい!」
とわたしは言って、再び阿部くんの左手に向かって右手を伸ばした。
しかし、彼の細くて綺麗な指にふれたとたん、再び心臓がドクンと大きく鳴り、わたしは思わず手をひっこめた。
わ、わたしは一体、何をしようとしているんだ?
テンパっているわたしに対して、
「ね。上手くいってるといいんだけどね」
と阿部くんはつぶやき、真剣な顔で空を見上げていた。
「うん……」
どんどん大きくなる鼓動に目の奥をつんとさせながら、わたしも視線を頭上に移した。