僕の幸せは、星をめぐるように。
☆ ★ ☆
「マジ? 超ウケるんすけど!」
「しー。あんた声でけーよ」
フェス疲れ中の人たちを乗せて、この大型バスは東北自動車道を北へ進んでいく。
真ん中に通路を挟んだ4列シート。
消灯時間が過ぎ、真っ暗な空間の中、
わたしはユカチンとひそひそ声で話をしていた。
通路を挟んだ隣の席からはクニオのいびきが聞こえてくる。
その奥に阿部くん。同じく爆睡中のようだ。
「すんごい人がぎゅうぎゅう詰めの中、ライブ終わるべ?
で、花火が始まったっけさ、あいつ知らない人と手繋いでて。その人超驚いてて。しかもイケメンさんだったし。もうバカかと」
「ちょ、それやばいね」
あの花火の下、ユカチンとクニオの間には、
阿部くんと予想した以上のことが起きていたようだ。
わたしは声を殺しながら爆笑していた。
今はちょうどトンネルの中らしい。
どこかのカーテンの隙間から2、3ほどオレンジ色の光が車内にさしこみ、暗い空間を流れていく。
「んで、なぁにしてんだ? って詰めたらあいつ素直に白状しやがって。あんたと阿部くんが入れ知恵したとか……」
「わー、ごめんって」
「……別にあやまんなくていいし。あたし、あいつとのことちゃんと考えるから。ヤマダもイソノもあたし割と好きだし」
そう言って、ユカチンはわたしのほっぺを軽くつねった。
あいたたた。
でも、クニオのバカさにあきれながらも、暗い中ユカチンの金髪がまぶしく見えた。