僕の幸せは、星をめぐるように。
「だから、トシミもがんばれ」
「……うん」
「彼女作る気ないっていうの。あくまでも『今は』ってことだべ? 阿部くん、夏休み前に誰かから告られてフったって噂だし」
「ん……ありがと」
楽しみにしていた夏の一大イベントが終わってしまい、少し寂しい気分になっていたけど、
わたしの中で次第に大きくなっていく感情と、もっと向き合っていきたいと思った。
べ、べつに失恋したわけじゃないし。
でも、花火の時の阿部くんの手。
保健室で繋がれたものとは、違うもののように感じた。
わたしの感覚が、あの時とは別物だっただけかもしれないけど。
ってかあれは反則でしょ!
ドキドキ、いや、何かすごく安心して泣きそうになっちゃったし。
わかんないわかんないわかんないってー!
いろいろ頭の中を整理させたかったけど、
今日は朝が早かったこともあって、すぐにうとうとと眠りについてしまった。
夢は見なかった。
たぶん見たのかもしれなかったけど、
心地よいバスの揺れによる、深すぎる眠りによって全て忘れてしまったのかもしれない。
「うおー! マジ寝た! ちょ待って。寝起きすぎてやばい~」
刺すような朝の光の中。
バスを出ると、よろよろと前かがみで逃げるように歩くクニオの姿があった。
「うわ、まじありえなーい!」
そう言って、ユカチンはそれを避けるように逃げ回る。
「うう。しゃーねーべ? 男の生理現象だぁ」
わたしは阿部くんと一緒に苦笑しながら、クニオとユカチンのやり取りを見ていた。
男の子も大変なんですね……。
すると、ユカチンがわたしの背後にまわり、「おめぇ今阿部くんの股間チラ見したべ?」とぼそりとささやいた。
「はぁあ!? してねって!」
阿部くんはちょっと前から起きてたし、大丈夫でしたからー!