そこにいる
僕は家に帰ると、親ともろくに話しもせず、部屋に戻った。

学校で起きた出来事が、ショッキングな内容なだけに、親も僕に気を遣って、あまり根掘り葉掘り訊かないでいた。


夜も更け、ベッドに潜るがなかなか寝付けない。

それはそうだ。

昼間の光景が、何度も何度も、頭の中で繰り返される。



-----ピピッッ


丁度午前0時。

僕にメールが届いた。


どこから届いたのか、差出人のアドレスにはNとしか載っていなかった。

メールを受信する前に、『件名』を確認すると

『大丈夫?』

と書いてあった。

僕は、Nとは、きっと菜都が送ってきたのだろうと思った。

アドレスをどう操作したのかは分からないが、情報通の女子のことだ。

なにか上手く操作する方法でも仕入れて、ふざけてみたのだろうと思った。

僕は迷わずメールを開いてみた。




件名:大丈夫?

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今日は、大変な目に遭ったね。

目の前で人が亡くなるなんて、かなりショックだよね。

眠れてないんじゃないかって、心配してます。

でも、元気出してね。

明日また、元気な顔を見られるの、楽しみにしてます。


追伸:もし、眠れなかったら

『心のビタミン充電サイト』

っていうのがあるらしいから、そこ見てみるといいよ。

トラウマとかも癒してくれるらしいし、もちろん無料だから。



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いつも、メールにマメでない僕は、返信するよりも先に、おススメというサイトに行ってみることにした。


どうせ、このまま布団の中に居ても眠れないし、菜都のおススメならちょっと見てみようかという気持ちと、この不安な気持ちを抑えられるならという思いで、『心のビタミン充電サイト』のボタンを押してみた。

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