そこにいる
「このクラスの、中山・・野田・・細川が・・昨日の夜中・・亡くなった。」


クラスは一瞬ザワッとなったが、僕はそのざわつきに違和感を覚えた。

その時の僕は、なぜ違和感を感じたのか分からなかった。

ふと、シンを振り返った。

さすがのシンも、眉をしかめて、宙の一点を見ていた。


中山・野田・細川は、シンのいつもの取り巻きだった。

シンも、さすがに人ごととは思えないのだろう。

クラスの女子は、グスグスと泣き出す子もいた。


昨日は、先生・・今日は生徒・・・それだけじゃない・・・

この町では毎日毎日・・どこかで誰かの命が消えていく・・・

中山・野田・細川の3人も、昨日の先生のような亡くなり方だったのだろうか・・・

担任も、ただ亡くなったという情報しか教えてはくれなかった。

この学校にまで、話題の事故か・・事件か・・が、忍んできた事は確かだ。


午前中、授業にまったく集中出来ないまま、昼休みになった。

いつも通り、屋上に行く時は、必ず菜都がうちのクラスに迎えにくる。

僕は、それとなく菜都を待った。

シンは既に、女子からの弁当をいくつか机の上に並べられ、どれから食べようか迷っている様子だった。



----ブーッッ・・ブーッッ・・ブーッッ・・


ズボンに入れておいた携帯のバイブに、僕はビクッと反応した。

着信相手を確認する。


着信:N


『・・・N・・?』


僕は、夜中に届いたメールを思い出した。

あの差出人も、Nとだけ表示されてあった。

菜都に確認しても、違うと言うし、それ以前に、Nでアドレス登録した記憶もない。

僕は少々気味が悪くなり、その着信を無視した。


しばらくすると、その着信は途絶えた。

ホッとして、僕は携帯を見た。

着信1件と、留守番電話が1件表示されていた。

やはり気味が悪かったので、留守電も、聞かずに消去しようかと思ったが、やはり・・

Nという人物の声というモノを確認しておきたいという気持ちの方が勝ってしまった。


僕は、留守緑を再生した。


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