そこにいる
---ピーーーーーッッ
甲高い音の後、メッセージは始まった。
「お忙しい中恐れ入りますが、ご報告申し上げます。
昨夜0時の時点での、ゲームの敗者人数を報告致します・・・」
留守録の相手は、若い男性の声だった。
『ゲーム・・・?・・敗者人数・・・?』
僕は、これから聞くであろう嫌な予感に、背筋を冷たくした。
「敗者人数13名。その中で、あなた様と直接面識のある方は、4名です。
残念ながら、ゲームクリア者はまだいらっしゃいません・・・」
僕の手は、耳に当てている携帯ごと、じっとりと汗で濡れていた。
留守電の声は、更に続いた。
「では、明日の敗者予想数と勝者予想数を申し上げます。明日の敗者予想数13名、勝者予想数13名です・・・以上、報告を終わります。」
・・どういう事?
・・・どういう事?
・・どういう事?・・敗者?・・勝者・・?
「では本日から49日間、ゲームクリアに向けて頑張って下さいね。」
「ちょっと、待っ・・・・」
僕は、相手が留守電である事も忘れ、電話に話しかけた。
---ピーーーーーッッという音で、その声は終わった。
僕は、ゆっくりと携帯をたたみながら沢山の事を考えた。
息は浅くしか出来ず、両肩が上下しているのが自分でも分かった。
まとまらない思考の中で、とりあえず僕に分かったのが、敗者の4名が僕と面識があるという事。
即ち、今日、僕の知っている中で、明らかに皆と違うと言えば、屋上で亡くなった体育教官の荒江と、亡くなった3名のクラスメートの女子に他ならない。
・・・という事は、このゲームに『負ける』という事は、即ち『死』を意味しているという事だ。
それを思い立った瞬間、僕は恐怖にガマン出来ず、まずシンに確認してみようと思った。
シンなら荒江の件は然り、亡くなった3人の女子の死因を知っているかもしれない。
今、話題の事件とは全く関係が無いかもしれない!
僕は、必死の形相でシンを振り返った。
しかし、シンは相変わらず女子とケタケタ笑って弁当を突っついている。
そんな事など構うもんか。
僕は、シンの方へ足を向けた。