そこにいる
一瞬・・・

夜中に見たケータイの画面が頭をよぎった。



-----あなたがこのゲームの参加者である事を、他の誰にも告白してはいけません。

 (自分で告白した場合、あなたの『負け』になります)-----



『はっっ!?・・そうだ・・確かゲームのルールにそんな事が書いてあった・・・』


シンに向けた足を一旦戻し、僕は自分の席にもう一度座った。

そんな事・・・無いかもしれない・・・でも、でももし・・・シンがこのゲームの参加者だったら・・・・・


僕が『荒江と3人の女子の死因知ってる?』


・・なんて訊いたら、カンのいいシンのことだ・・・絶対に僕がゲームの参加者だとバレてしまう。

きっと、その時点で僕は『負け』なんだ・・・。

ゲームの参加者であるかどうか、常にあやふやな存在でなきゃならないんだ。


・・・となると・・・


僕はようやく、朝礼の時に覚えた違和感の意味を、解する事が出来た。

あの時何故、妙な気持ちになったのか・・・

担任が、3名の死を報告した時、ざわついたのは、クラスの半分も居なかったからだ。

ざわつかなかった奴らは・・・きっと・・ゲームの参加者だ・・・


いつも通りの昼休みの光景を、僕はこんなにも恐ろしく感じた事は無かった。

いつも通り笑い。

いつも通り弁当を食べ。

いつも通り過ごす皆。


このクラスの中で、半数以上が今僕と同じ立場に居ながら、普通通りを過ごしている・・・。

皆、にこやかな仮面を被ったまま・・心の中で、必死に周りを警戒しているんだ。


気付かれないように・・

気付かれないように・・

気付かれないように・・


今となっては、僕もその1人だ。

僕はクラスを見回した。

誰だ・・・誰が参加者だ・・・

いや・・もしかして、このクラスにゲームの作成者が居るかもしれない。


・・・分からない・・何もかも・・


ただ・・・


誰も信じられない・・・



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