そこにいる
「ただ・・・彼が去った後も、泣き続ける彼女の横を、僕も嫌でも通らないと教室に戻れなかったんで、仕方なく彼女の側を通り過ぎたんだ。
その時に僕は見たんだ・・・」
「・・・なにを・・ですか?」
「彼女の首筋に、まだかなり薄かったけど『偽』の文字が浮かんできていたのをね・・・」
僕の全身に、強烈な電流が流れた気がした。
「そ・・・それで・・・」
「だから僕は、彼女に尋ねたんだ。
『その首のアザはどうしたの?』って。
今までは亡くなった人にしか見られなかった文字が、生きている人間にも浮かんできた。
その理由が知りたくてね。」
神経が図太いというか・・無神経というべきか、小坂先輩はここ最近の変死のキーワードである『偽』の文字が浮かんでいる本人に対して、よくもまぁ・・そんな残酷な事を尋ねられたモノだ。
僕の中での小坂先輩への視線が、尊敬から変人へと移項しつつあった。
「で、結局分かったんですか?」
「いいや・・・残念ながら・・・。
だって・・・それを聞いて彼女・・血相変えて、ダッシュで走り去ったから。」
「それは・・そうでしょうね・・・」
「でも・・・」
「でも?!」
「僕もさすがに気になってね・・・キミのクラスの担任に、中山さんの家を尋ねて、行く事にしたんだ。ご不幸があったらしいから、ご供養に伺いたいって言ったらすぐに教えてくれたよ。」
「それで、行ったんですか?中山ン家(ち)・・・」
「うん・・・。
でも、法事は何もなかった・・・。
いくらその日が49日だって言っても、法事自体は、早めに休日に済ませる所も最近は多いし・・元々、それを期待して行ったわけじゃないけど・・・。
玄関前で、そのまま帰ろうとしたら他の女子2人が彼女の家に入って行こうとしたんだ。」
「それが、野田と細川ですか?」
「多分ね。彼女たちの名前は確認してないけど、一応彼女たちにも声をかけたんだ。」
「・・・・・」
「『キミたちも49日で来たの?』って」
その時に僕は見たんだ・・・」
「・・・なにを・・ですか?」
「彼女の首筋に、まだかなり薄かったけど『偽』の文字が浮かんできていたのをね・・・」
僕の全身に、強烈な電流が流れた気がした。
「そ・・・それで・・・」
「だから僕は、彼女に尋ねたんだ。
『その首のアザはどうしたの?』って。
今までは亡くなった人にしか見られなかった文字が、生きている人間にも浮かんできた。
その理由が知りたくてね。」
神経が図太いというか・・無神経というべきか、小坂先輩はここ最近の変死のキーワードである『偽』の文字が浮かんでいる本人に対して、よくもまぁ・・そんな残酷な事を尋ねられたモノだ。
僕の中での小坂先輩への視線が、尊敬から変人へと移項しつつあった。
「で、結局分かったんですか?」
「いいや・・・残念ながら・・・。
だって・・・それを聞いて彼女・・血相変えて、ダッシュで走り去ったから。」
「それは・・そうでしょうね・・・」
「でも・・・」
「でも?!」
「僕もさすがに気になってね・・・キミのクラスの担任に、中山さんの家を尋ねて、行く事にしたんだ。ご不幸があったらしいから、ご供養に伺いたいって言ったらすぐに教えてくれたよ。」
「それで、行ったんですか?中山ン家(ち)・・・」
「うん・・・。
でも、法事は何もなかった・・・。
いくらその日が49日だって言っても、法事自体は、早めに休日に済ませる所も最近は多いし・・元々、それを期待して行ったわけじゃないけど・・・。
玄関前で、そのまま帰ろうとしたら他の女子2人が彼女の家に入って行こうとしたんだ。」
「それが、野田と細川ですか?」
「多分ね。彼女たちの名前は確認してないけど、一応彼女たちにも声をかけたんだ。」
「・・・・・」
「『キミたちも49日で来たの?』って」