そこにいる
僕とシンは、しばらく自転車を走らせて、20分ほどで菜都の家の前に着いた。
一軒屋の菜都の家のチャイムを押してみた。
家の中はシーンとしている。
---ピン・・ポーンンッッ・・
僕は、もう一度チャイムを押してみた。
やはり、誰も出ない。
「あっ・・」
僕の隣に居たシンが声を出した。
「なに?!どうしたの?」
僕がシンに尋ねると、シンは菜都の家の2Fの窓を指さした。
昼間だというのに、カーテンがしっかり閉められていた。
しかし、よく見るとカーテンが少し揺れていた。
「さっき、菜都がこっち見てた」
「マジで?」
僕は、ゴクッとツバをのみ込んだ。
『まさか、ユーレイじゃないよね・・・』
「菜都ーーーーーーーっっ!!」
臆病な事を考えている僕の隣で、シンが菜都を呼んだ。
シンは僕に向かって、ニッと笑ってみせた。
その声に僕のばかげた考えはすっ飛んだ。
「菜ぁ都ぅーーーーーーー!!」
僕もありったけの力で、菜都を呼んだ。
それでも菜都は出て来なかった。
しかし、僕らは菜都を呼び続けた。
「菜都ーーーーーっっ!!こらぁ、出て来ーーーい!!」