そこにいる
しかし、人と会わないで居続ける事は出来ない。

なぜなら、49日の間に2人の人間をゲームに参加させなければならない。

誰にも会わずに、それを実行することは不可能だ。

参加させようとした人間が既にゲームの参加者であるかどうかを探らなければならない。

それともう一つ、その人は悪人でなければならない。

『善人』の皮を被った人たちの中で、本物の悪人を捜す事はかなりの困難を極める。

これは、実際に会って確信しなければ、無理な問題だ。

おそらく、このゲームに参加したプレーヤーたちが、必ずつまづくポイントだろう。



「おばちゃん・・・ところで、菜都の家の中にどうやって入っているんですか?」


僕の質問に、おばちゃんはあっけらかんと答えた。


「カギはいつも開けっ放しなんだよ。

物騒だから閉めときなさい!っていうのにねぇ・・・」


おばちゃんのその言葉が終わらないうちに、僕とシンは、菜都の家の門扉を開け、玄関のドアを開いた。

おばちゃんの言う通り、玄関のカギはかかっていなかった。


僕たちは、すぐさま2Fに上がった。


--- NATSU

と書いてあるドアの前で僕らは立ち止まった。

どうやらここが、菜都の部屋らしい。

菜都の部屋のドアを、僕が叩いた。



「菜都?大丈夫?僕だよ悠吾!」


「シンちゃんもいるぞい!!出~ておいで!!」



部屋の中から声がした。



「お願い・・・帰って・・・」



菜都はやっと絞り出したような声で返事をしてくれた。



「菜都を1人になんてしておけるワケないでしょ!

なんで連絡してくれなかったの?」


「そうそう!返ってこんな大騒ぎになっちゃったじゃん?!」



菜都はしばらく黙っていたが、重い口をなんとか開いてこう言った。



「・・・・・・もう・・間に合わない・・・」



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