そこにいる
「本日は、ご報告が遅くなりまして、誠に申し訳ございません。」
「も・・もうっっ・・報告なんか、聞きたくないんだよっっ!!」
恐らく、この声はシンや菜都にも聞こえているに違いない。
でも僕は、そんな事は構わなかった。
なぜなら、今僕はモーレツに怒っていた。
こんなにも自分の大切な人を苦しめる、このゲームに、腹の底から煮えくりかえっていた。
「本日の勝者と敗者のご報告を致します。」
「聞きたくない・・っつってんだよーーーー!!」
僕は、力まかせに自分のケータイも、菜都の時と同様、廊下の一番奥の壁に投げつけて壊した。
ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・
初めからこうすれば良かったんだ・・・
ケータイが無ければ、かけてくることはない・・・
そう思ったのもつかの間、菜都の部屋から悲鳴が聞こえた。
「きゃああああああああ・・・」
シンが一緒に居ると思って安心していたが、菜都の悲鳴に僕は慌てて部屋へ戻った。
菜都もシンも、ある一点を見て顔を引きつらせていた。
その一点に、僕も目をやった。
その一点とは、菜都の部屋に置いてあるテレビだった。
「さて・・・ご報告の続きです・・・」
なぜ・・・?なぜなんだ・・・
ケータイだけじゃなく、電源を入れていないテレビも反応させられるなんて・・・
その時僕は気付いた。
『人間業じゃない・・・・』