そこにいる
『49日間が過ぎるまで、自分の口からはカミングアウトしたくない・・ってコトかな・・・』


僕はそう考えた。


とりあえず、菜都には時間がない。


あいつらの撃退法は、またゆっくり考えるとして、とりあえず誰か悪人を、ゲームに参加させなければならない。


僕は、小坂先輩を思った。

あの人なら、知恵を貸してくれるかもしれない。


「菜都・・小坂先輩の連絡先知らない?」


「小坂・・先輩・・どうして?」


「あの人なら、菜都を助けるための方法を考えついてくれそうだから!」


「そんな・・・ダメだよ・・・人の手を借りたりしたら・・あいつがスグ来ちゃうよ・・・」


菜都は、またボロボロと泣き出した。


「大丈夫!小坂先輩は、そんなヘマはしない人だよ。」


菜都は、じっと口をつぐんだが、しばらく経ってボソッと呟いた。


「連絡先は・・知らないけど・・、家なら知ってる・・この近所だから・・・」


僕は、菜都に先輩の居所を聞いた。


菜都の話しによると、小坂先輩はこの近所の下宿舎に住んでいるという。


高校から、親と別居で、自分1人で生活を始めたらしい。

その理由は定かではなかった。

先輩の両親が不仲だからだとか・・・先輩が大人過ぎて、親がついていけないからだとか・・・

恋人と駆け落ちしたかったからとか・・・皆、勝手な想像で、そうウワサしていたという。


僕は、シンに菜都と一緒に居てもらい、小坂先輩の下宿には1人で来た。

菜都の家から、僕の愛車で10分とかからない場所だった。

僕は下宿の管理人さんに挨拶し、小坂先輩を呼び出してもらった。


小坂先輩は、管理人さんが内線電話で連絡をすると、突然の訪問にもかかわらず、僕を笑顔で迎えてくれた。


「やぁ!よくここが分かったね。まぁ・・入ってみる?」


僕は立ち話もナンだと思い、とりあえず先輩の部屋へ上がらせてもらうことにした。




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