そこにいる
僕としては、何故こんな美人が僕がイイのか…


なんて全く分からなかったが、


拒む理由もないし、皆が羨ましがるから、付き合うことにした。


そうして、付き合いだして1ヶ月が無事に過ぎている。



「あらら、トボけるところがまた、アヤシ~っつーのー」



シンはとにかく明るい。


いつも無口で、口べたな僕とは正反対。


どんな場面でも自分の空気を持っていて、


そのペースに周りを引き込んでいく。


シンの持つ空気が良いから、


彼の空間に入った人間は皆楽しそうにしている。


そんな、シンを羨ましいと思いつつも、


僕もそんなシンの空気に和まされている1人だ。



「ホントにそんなんじゃなくて・・・・ほら、例の事件・・・

今日もまた1人亡くなったって、ニュースで言ってたからさ・・・」




「あ~アレねぇ・・・確かに不気味だよね!

なんか、こう、アレなんでしょ?脳ミソグチャグチャみたいな!!」




シンは脳ミソの代わりに、自分の端正な顔を


手で掻き回してグチャグチャにしてみせた。


その後は、すかさず笑顔だ。



「だからその表現、朝からグロいって。」



シンの期待通りのポジティブリアクションに、


僕もようやく笑みを浮かべるコトが出来た。


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