そこにいる
「例えば・・この前屋上で荒江先生が亡くなった時・・・

先生は、髪の色が茶色のオレを追いかけまわしていただろう?

風紀が乱れるという理由をオレに当てつけて、オレを悪人とみなし、ゲームに参加させようとしていた。

でも、オレは既にゲームの参加者だったからなんとか先生からオレは遠ざからないと、先生が敗者になってしまうと思って、あの時、屋上に隠れさせてもらったんだ。」



「あの時、荒江は『そこにいる』って言って亡くなった・・・」



「そう・・オレを見つけた瞬間。

アイツはそれを狙って荒江先生に電話をかけた。

そうしてこう質問したんだ。

『あなたが今回ゲームに参加させるための悪人はどこにいますか?すぐに答えなければ敗者決定ですよ』・・ってね。」


「ゲームの開始時間とか・・皆バラバラだったんだ・・・」


「そう・・・

そして、まだゲームに参加していない人間に、変死の場面を見せて、その恐怖を植え付けた時に、上手くゲームに誘うんだ。

あんな死に方を見せられた後は、誰もが心の平和や癒しを求めるからね・・・

奴は・・そういう、人の心理を操って、奴にとって不必要な人間を排除してきた・・・

そして・・・それはこれからも続くんだ・・・

特に・・オレは・・この先一生ね・・・」


「さっきの菜都の質問の時は・・なぜ『影』って言ったの・・?

『そこにいる』

がNGワードでなければ、僕の事を指して

『そこにいる』って言っても大丈夫だったんじゃないの・・?」


僕は、シーンとなる状況が怖くてとにかく話し続けた。


「それは、初期ルールを覚えてる?1つ目に『人を裏切ってはいけない』とあったよね。」


「うん・・・」


「あそこで菜都が、悠吾の事を指して『そこにいる』って事を言ったら、それは『裏切り』に値するからさ」


「ごめん・・・まだ・・意味がよく分からない・・・」



「『私は大抵あなたと一緒に居ます』・・は当てはまっているよね。」


「うん・・・」


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