そこにいる
「おはよ~。」


今度は靴箱で、先程話題になった菜都からのご挨拶。



「おぅ!おはようっっ、菜都!きょ~もキレイだねぇ~」



こんなセリフを吐くのは勿論シンだ。



「んもぅ、シンちゃん!

どうせ言うんなら、もっと心込めて言ってよ。

お世辞って、ミエミエなんですけど!」



菜都は半分ふくれて、半分上目遣いでシンを見た。

その顔がまた可愛い。



「悠吾おはよ!」



ふくれっ面をやめて、シンに向けていた菜都の上目遣いが

僕の方へやってきた。



「おはよ…。」



付き合って1ヶ月経っても、僕はこの程度の挨拶しかカノジョに出来ない。


ほんと、こんな無口な僕のどこがいいのか、考えれば考えるほど理解に苦しむ。


シンに言わせると、その無口な所がかえって女子には


ミステリアスに見えるのだとか・・・。



「ねぇ、悠吾。今日も一緒に屋上でランチするでしょ?」



上靴をつま先でトントンと履きながら、いつものように菜都が尋ねてきた。


僕とシンは同じ6組。


菜都は1組。


食堂なんてない僕たちの学校では、

屋上や校庭でも、色んな人と自由にランチをする事が許可されている。




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