そこにいる
「いいよ。」


僕はポツリと言う。



「菜都様。本日は私もご一緒させて頂いて、よろしいでしょうか。」



シンが貴族風に構える。



「イイけど・・・どーしたの?

いつも女子から沢山お弁当もらって、

みんなで食べてるのに!」



菜都が長いまつげをパチパチしてシンを見る。



「いやー、今日さ、なんか朝からお腹の調子悪いんだよね~。

でも、オレって癒しキャラじゃん?!

みんなに不調なトコ見られたくナイんだよね~。

女の子たちみんな、心配するし!

かえって落ち着かないってゆーかさ。」



と言いつつ、シンは僕にウインクした。


そのウインクの意味を僕は知っている。


今日の昼休み、シンは風紀担当の荒江先生に呼び出されている。


髪の長さがどうとか、色がどうとかで、


変えないと丸刈りにすると脅されているのだ。


見た目命のシンにとっては、絶対に許されないことである。


風紀担当は、必ず体育教官の誰かがやる。


なぜなら、体育会系は皆メチャ厳しい。


化学系の、か細い先生が風紀やっても、


無論、誰も言うこと聞くヤツなんていないだろうけど。



しかも、体育教官は竹刀なんかも持ってる。



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