そこにいる
「キミの言う『モテる』って、どんな定義なの?」
「・・・定義・・ですか?」
中学2年になり、まだ2学期が始まったばかりの菜都には少々難しい質問であった。
「そう。」
「それは・・その~・・定義とかって言うのか分からないんですけど・・・・」
小坂は特に相槌を打つことなく、先ほどの菜都のレポートを眺めている。
「注目されたり、人気がある!って事だと思います。」
「へぇ~。それじゃ、キミの定義で言うと3年女子にモテている僕はレッサーパンダなんかと同じ扱いって事だね。レッサーパンダも注目されたり、人気があるけど、あれは一時的なブームだ。・・ってことは、僕も一時的なブームが去れば忘れられる存在ってわけだ。有難い事だね。」
「いえっ・・ちがっ・・・あのっ・・・」
菜都は顔を真っ赤にして少しうつむいた。
そのような菜都に動じることなく、小坂はレポートを菜都に差し出した。
「そんな事より、このレポじゃ『校内図書新聞』に載せられないよ。」