初めての恋はあなたと。 「その後」を追加しました
私は黙ったまま、江崎課長の話を聞いていた。

何か言ったら何だか泣きそうだったから。
江崎課長に自分がどれだけ想われているか考えたら胸がキューと締め付けられる気がした。


「相手が千夏だったからあのお見合い話を受けた。もし千夏でなかったら、丁重にお断りしたな」


少し冗談ぽく江崎課長は言った。
しかしすぐに真剣な顔になった。


「俺は断られると思っていたんだ。見ず知らずの相手に、試しで付き合えなんか言われたら誰でも断る。しかし千夏は引き受けてくれたし、今ではこうやって一緒にいてくれる…俺はどうしようもないくらい幸せだ」


「なんか最初の質問の答えからずれているな」と江崎課長は困った風に笑った。

私はその言葉に返事できなかった。
なぜならもう涙が我慢出来なかったから。

「千夏？俺何か嫌なことを言ったか？」


頭を横にふると、江崎課長はガタッと席を立ちわざわざ私の横に座って頭を撫でてくれた。

何度か撫でられているはずなのに、嬉しい気持ちは変わらない。
逆に大きくなっている。

…こんな優しい江崎課長に私は何ができるのだろう。

泣くのを必死で止めようとしながらそんなことを思った。
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