初めての恋はあなたと。 「その後」を追加しました
6.甘い閻魔
次の日の昼休みは社内食堂ではなく、会社前のちょっとオシャレなパスタ屋にいた。
お値段が少々お高めなため、一ヶ月に一回にして自分へのご褒美にしている。
それは由依も同じで、目の前では美味しそうに和風パスタを食べているのだ。
…いつもは。
今日はというと席に着くなり昨日はどうだったと聞かれ、話したら話したで運ばれてきたパスタに手をつけない。
やっと声を出したかと思えば、
「その人本当にあの閻魔課長?同姓同名ではなく?」
とそれはそれは失礼なことを言った。
「そんなわけないでしょ!」
「だってあの人が笑うんだよ?千夏を呼び捨てにするんだよ?優しくなるんだよ?信じられるほうがおかしいわよ!」
…営業課での江崎課長のイメージって相当ひどいのだろうか。
「あの、由依?聞きたいことがあるんだけど…」
「あーあの課長が…ってごめん!聞きたいことって何?」
ぐるぐるといつも以上にパスタを巻く由依に心配になりながら、
「江崎課長のこと何て呼べばいいかな…」
と聞いた。