不道徳でも愛してる〜歪んだ愛のカタチ〜【短編:完結】
赤の他人として出会えていたなら
どんなに良かったかわからない。
普通の出会い方が出来ていたなら
悩んで苦しむ事などなかった。
不道徳の扉を開けてしまう事になっても
十字架を背負う事になっても
周囲を傷つけてしまう事になっても
お互いを好きな気持ちに気がつき
隠し通せなくなった静樹と私は
お互いを求め合い愛し合ってしまった。
静樹の仕事の都合で
離れて住んでいる間も
彼が菜穂さんと
籍だけの夫婦だった間も
私達の愛は変わらなかった。
私は菜穂さんのように
彼とは入籍は出来ない。
彼の赤ちゃんを産む事も出来ない。
なぜなら静樹は
私の父親が愛人女性に産ませた子どもで
私達は異母兄妹になるから…。
父親に泣かされていた
母親の涙を見て育った私にとって
静樹は普通なら憎いはずの相手なのに
それでも彼を愛してしまった。
彼もまた私達母娘に
懺悔を抱きながらも
私を妹ではなく女性として
愛してしまった。
リスクと罪を背負い、全てに背いて
静樹と私は2人で暮らしていく…。
「…静樹…私だってあなたの事を
………不道徳でも愛してる。」
彼の瞳を見つめながら
今度は私から唇を重ねた。
【END】