南柯と胡蝶の夢物語

「紗良里!穂月!大変だよ!」

子ども達が庭で騒ぐ声が聞こえてきた。
何事かと思って、二人で庭先を覗くと子ども達が興奮したように早口で我先にと口を動かし始める。

「青い綺麗な羽をもった妖精さんが来たよ!」
「紗良里のお話に出てきた妖精さん!」
「真っ白なお肌の、水みたいな髪の妖精さんだよ!」

子どもたちの言葉に、二人は一瞬ぽかんと呆気にとられた顔をして、それから急いで庭に出た。
そこには十数年前に見た姿となんら変わらない姿で微笑む妖精が立っている。
太陽にきらきらと輝く髪を風に揺らしながら、二人ににこりと笑いかけた。

「元気ですか?」

思わず紗良里と穂月は涙ぐんでしまうのだった。
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