たかしと父さん
「就職します。あと、車の免許も取ります。」
担任が僕の顔を見ている。
「お、おう・・・そうか。ご両親はそれでいいのか?・・・説得できるか?」
ウチの高校から就職する生徒はそう多くない。
「家族で決めました。」
「お、おう・・・そうか。希望する就職先とかあるのか?」
僕はエレベーターのメンテナンスの会社の名前を告げた。なんてことは無い、篠宮父の努めている会社だ。職員室を出ると保健室のババアが立っていた。
「思い切ったね。」
「何ですか!・・・何で知ってるんですか。」
保健室のババアは少し不可解な顔をした。
「学校が難病抱えた女子生徒受け入れるのに私が何も知らないわけないでしょ?」
「そ・・・そうでした。」
言われて納得だ。保健室のババアは言いすぎだ。保健室のおばさんぐらいに戻しておこう。
「後悔しないの?」
僕は立ち停まった。保健室のおばさんも申し合わせたように立ち止まる。
「より後悔が少ないのはコッチです。」
「ああ、なるほどね。」
「あと」
僕はグッとお腹に力を入れた。
「未来のことを考えすぎるのはやめたんです。」
「へ?」
「未来のことを考えれば、どんな人でもいつか必ず辛い日は来るんです。・・・そんなずっとずっと先のことを考えて生きるのはやめたんです!」
保健室のおばさんは僕にちょっと気圧されながらも口の片側だけで笑った。
「あったまイイじゃん、色男!・・・惚れたよ。マジで。」
「失礼します!」
後ろから声が飛ぶ。
「いつか、あんたが見てない間、篠宮がどんな風だったか教えてあげるよ!」
「・・・これから、たっっっぷり時間はあるんで遠慮しときます!」
そう、時間はたっぷりあるし、やるべきこともたっぷりあるんだ。
たっぷりと。
担任が僕の顔を見ている。
「お、おう・・・そうか。ご両親はそれでいいのか?・・・説得できるか?」
ウチの高校から就職する生徒はそう多くない。
「家族で決めました。」
「お、おう・・・そうか。希望する就職先とかあるのか?」
僕はエレベーターのメンテナンスの会社の名前を告げた。なんてことは無い、篠宮父の努めている会社だ。職員室を出ると保健室のババアが立っていた。
「思い切ったね。」
「何ですか!・・・何で知ってるんですか。」
保健室のババアは少し不可解な顔をした。
「学校が難病抱えた女子生徒受け入れるのに私が何も知らないわけないでしょ?」
「そ・・・そうでした。」
言われて納得だ。保健室のババアは言いすぎだ。保健室のおばさんぐらいに戻しておこう。
「後悔しないの?」
僕は立ち停まった。保健室のおばさんも申し合わせたように立ち止まる。
「より後悔が少ないのはコッチです。」
「ああ、なるほどね。」
「あと」
僕はグッとお腹に力を入れた。
「未来のことを考えすぎるのはやめたんです。」
「へ?」
「未来のことを考えれば、どんな人でもいつか必ず辛い日は来るんです。・・・そんなずっとずっと先のことを考えて生きるのはやめたんです!」
保健室のおばさんは僕にちょっと気圧されながらも口の片側だけで笑った。
「あったまイイじゃん、色男!・・・惚れたよ。マジで。」
「失礼します!」
後ろから声が飛ぶ。
「いつか、あんたが見てない間、篠宮がどんな風だったか教えてあげるよ!」
「・・・これから、たっっっぷり時間はあるんで遠慮しときます!」
そう、時間はたっぷりあるし、やるべきこともたっぷりあるんだ。
たっぷりと。