たかしと父さん
家に帰ると右の靴下が赤く染まっている。脱いでみると、右足の小指の爪から出血していた。走った時にぶつけたんだろう。シャワーを浴びると盛大にしみる。
「アイタタタ」
やっと身体に正常な感覚が戻ってきた気がする。今日という日を思い出そうとしてもだいぶ思い出せない。ザアザアと流れるシャワーが排水溝に吸い込まれていくのを見ながらつぶやいた。
「告白した・・・僕。」
シャワーを出て、小指に消毒薬をかけていると母親に見つかった。
「あんたこれ、爪めくれてるじゃない!何やったの!?」
「・・・ぶつけた。」
母親によって厳重に絆創膏を貼られ、夕食を食べ終えるとやっと解放された。自分の部屋に入ると携帯が光っている。
「忘れてた!」
携帯に飛びつくと爪先が少し痛んだ。メールが入ってる。
「『メルアド変更のお知らせ』・・・迷惑メール・・・」
なんだか、一日分の疲れがどっと来た。ベッドに倒れこむ。ベッドに倒れこんだ瞬間、再び携帯が光った。
「『篠宮です!』・・・!!篠宮さんからだ!!」
夏が近づいて日没が遅くなったとはいえ、すっかり暗くなった部屋の電気もつけずに両手で携帯にすがりついた。
「えっと『今日はびっくりしました・・・』」
***
今日はびっくりしました
びっくりしたけどすごく嬉しかった
ありがとう!
・・・ところで、新田くんは教えてくれなかったけど
おつきあいするって意味でいいのでしょうか?
わたしはそのつもりでいます
新田くんのことよくしらないけど少しずつでいいからおしえてください
さら
***
「『さら』・・・!?」
なんだかビッグウェーブが来た。
「『さら』って篠宮さんがメールに下の名前で『さら』って!!」
部屋をノックする音が聞こえる。
「あんた、全部、部屋の外まで聞こえてるから。『篠宮さら』さんからのメール。」
姉だ。篠宮さんとは対極にいる生物だ。
「ご・・・ごめん!」
姉が階段を下りていく音がする。僕は声のトーンを落とした。
「はっ・・・!!メールに『さら』って書いてあるってことは・・・ぼ・・・僕は篠宮さんの事を・・・『さら』って呼んでいいってことでは!?」
何かが尾てい骨から脳天に駆け抜けた。なんということだ、この世にそんなとんでもない出来事があっていいのか!僕が篠宮さんを『さら』って呼ぶなんて!!
「うるせーぞたかし!!声は小っちゃくなったけどドタバタうるせーんだよ!!」
しまった、声は落としていたが、僕は自分の部屋でのたうちまわっていたらしい。
「ご・・・ごめんねーちゃん!」
でも、ねーちゃんは知らないんだ。僕はもう昨日までの僕じゃないってことを!
「あ、メール返信しなきゃ・・・!」
僕に彼女ができた。
「アイタタタ」
やっと身体に正常な感覚が戻ってきた気がする。今日という日を思い出そうとしてもだいぶ思い出せない。ザアザアと流れるシャワーが排水溝に吸い込まれていくのを見ながらつぶやいた。
「告白した・・・僕。」
シャワーを出て、小指に消毒薬をかけていると母親に見つかった。
「あんたこれ、爪めくれてるじゃない!何やったの!?」
「・・・ぶつけた。」
母親によって厳重に絆創膏を貼られ、夕食を食べ終えるとやっと解放された。自分の部屋に入ると携帯が光っている。
「忘れてた!」
携帯に飛びつくと爪先が少し痛んだ。メールが入ってる。
「『メルアド変更のお知らせ』・・・迷惑メール・・・」
なんだか、一日分の疲れがどっと来た。ベッドに倒れこむ。ベッドに倒れこんだ瞬間、再び携帯が光った。
「『篠宮です!』・・・!!篠宮さんからだ!!」
夏が近づいて日没が遅くなったとはいえ、すっかり暗くなった部屋の電気もつけずに両手で携帯にすがりついた。
「えっと『今日はびっくりしました・・・』」
***
今日はびっくりしました
びっくりしたけどすごく嬉しかった
ありがとう!
・・・ところで、新田くんは教えてくれなかったけど
おつきあいするって意味でいいのでしょうか?
わたしはそのつもりでいます
新田くんのことよくしらないけど少しずつでいいからおしえてください
さら
***
「『さら』・・・!?」
なんだかビッグウェーブが来た。
「『さら』って篠宮さんがメールに下の名前で『さら』って!!」
部屋をノックする音が聞こえる。
「あんた、全部、部屋の外まで聞こえてるから。『篠宮さら』さんからのメール。」
姉だ。篠宮さんとは対極にいる生物だ。
「ご・・・ごめん!」
姉が階段を下りていく音がする。僕は声のトーンを落とした。
「はっ・・・!!メールに『さら』って書いてあるってことは・・・ぼ・・・僕は篠宮さんの事を・・・『さら』って呼んでいいってことでは!?」
何かが尾てい骨から脳天に駆け抜けた。なんということだ、この世にそんなとんでもない出来事があっていいのか!僕が篠宮さんを『さら』って呼ぶなんて!!
「うるせーぞたかし!!声は小っちゃくなったけどドタバタうるせーんだよ!!」
しまった、声は落としていたが、僕は自分の部屋でのたうちまわっていたらしい。
「ご・・・ごめんねーちゃん!」
でも、ねーちゃんは知らないんだ。僕はもう昨日までの僕じゃないってことを!
「あ、メール返信しなきゃ・・・!」
僕に彼女ができた。