スイートラブライフ
「だって、匂いとか……んぁ」

ニットから侵入したオミ君の手が私を誘惑してやまない。

「ミィ、大事なこと忘れてる。シャワーに入ると匂いって消えちゃうんだよ」

あたりまえだ。そのためのシャワーだし。

「せっかくのミィの匂いを、僕がみすみす台無しにするはずないじゃないか!?」

言ったそばから、私の首に顔をうずめてクンクンとしている。

「へ、変態!」

もう他の言葉が思いつかない。

「今さら気が付いたの?」

いや、知ってた。随分前から知ってたよ。

もう変態スイッチがオンになった彼を誰も止めることはできない。

私は、あきらめて彼の愛を受け止めることにした。

「あぁ~おでんより絶対ミィの方がいい“出汁”がでてるよ。だってこの香り」

胸いっぱいに私の匂いを吸い込んでいる私の彼は、間違いなく変態だ。

「だ、出汁って……せめて寝室に……」

ロマンチックの欠片もない。でもこうやって何にも目もくれず私を求めてくれるのが嬉しい。

「了解」

私を抱きかかえた、オミ君の首に腕を回す。

こうやっていつも彼を受け入れてしまう私も、とうとう変態の領域に足を踏み入れ始めたのかもしれない。
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