君の名を呼んで
事務所を通してもらおうか
「では、ひとまず今年はお疲れ様でした~!」
映画撮影組の忘年会。
豪華にも都心の人気レストランを貸し切り。今回の制作部、太っ腹だ、ありがたい。
クリスマス前ということもあって、窓から見えるイルミネーションはどこも綺麗でなんだかわくわくしてしまう。
「雪姫、城ノ内さんは?」
朔が私が手渡したシャンパンに口をつけながら聞いてくる。
「ん~遅れて来ると思うけど……」
すずはちゃんと私の言いつけ通りノンアルコールで、楽しそうに共演者と話している。
「雪姫さん、こっちに来ない?」
するとどこから現れたのか、蓮見君が私の腕を引いた。
「蓮見君、マネージャーさんは?」
あんな剣幕でジェイズの蓮見だと騒いでいたマネージャーさんのことだ。
蓮見君が私なんかと一緒で、良い顔をする訳が無い。
ところが、彼はにっこり笑って隅に居たマネージャーを指した。
「お許しはもらってるよ」
その先に居たやや年配の女性マネージャーは一瞬苦い顔をしたものの、彼の言葉通り、咎めることなくそのままにさせている。
なんか、おかしくない?
朔を見上げれば、彼も怪訝な顔をしていた。
けれどそれよりも蓮見君を宥めることにしたらしく、こちらを見る。
「なあ、蓮見。雪姫をあまり困らせるなよ。お前には強烈なファンとか沢山居るだろ。雪姫に執着してると彼女が恨みを買うんだぞ」
「二ノ宮さんだってそうじゃん。そんなこと言って、雪姫さんを独り占めするつもり?」
聞く耳持たない彼に、困ったように朔が口を開いた。
「いや、独り占めしてるのは俺じゃなくて」
「雪姫の所有権は俺にある。
ちょっかい掛けるなら、事務所を通してもらおうか」
煙草の香りと共に、低く艶のある声で、そんな言葉を浴びせかけたのは。
映画撮影組の忘年会。
豪華にも都心の人気レストランを貸し切り。今回の制作部、太っ腹だ、ありがたい。
クリスマス前ということもあって、窓から見えるイルミネーションはどこも綺麗でなんだかわくわくしてしまう。
「雪姫、城ノ内さんは?」
朔が私が手渡したシャンパンに口をつけながら聞いてくる。
「ん~遅れて来ると思うけど……」
すずはちゃんと私の言いつけ通りノンアルコールで、楽しそうに共演者と話している。
「雪姫さん、こっちに来ない?」
するとどこから現れたのか、蓮見君が私の腕を引いた。
「蓮見君、マネージャーさんは?」
あんな剣幕でジェイズの蓮見だと騒いでいたマネージャーさんのことだ。
蓮見君が私なんかと一緒で、良い顔をする訳が無い。
ところが、彼はにっこり笑って隅に居たマネージャーを指した。
「お許しはもらってるよ」
その先に居たやや年配の女性マネージャーは一瞬苦い顔をしたものの、彼の言葉通り、咎めることなくそのままにさせている。
なんか、おかしくない?
朔を見上げれば、彼も怪訝な顔をしていた。
けれどそれよりも蓮見君を宥めることにしたらしく、こちらを見る。
「なあ、蓮見。雪姫をあまり困らせるなよ。お前には強烈なファンとか沢山居るだろ。雪姫に執着してると彼女が恨みを買うんだぞ」
「二ノ宮さんだってそうじゃん。そんなこと言って、雪姫さんを独り占めするつもり?」
聞く耳持たない彼に、困ったように朔が口を開いた。
「いや、独り占めしてるのは俺じゃなくて」
「雪姫の所有権は俺にある。
ちょっかい掛けるなら、事務所を通してもらおうか」
煙草の香りと共に、低く艶のある声で、そんな言葉を浴びせかけたのは。