君の名を呼んで
「で、あなたは梶原とは一体どういうご関係で……」

真野社長の緊張に満ちた問いかけが、その場の空気を凍らせた。
城ノ内副社長に視線を向けられた私は、首を横に振る。
ああ、いまほど演技力が欲しいと思ったことはない。何でも良いから適当に話を作りたくても、私の嘘はすぐ皇にバレちゃうもの。

「雪姫」

言え、と促されて。

「む、無理ですっ!私からは言えません」

「ああん?」

城ノ内副社長が私を睨む。
怖すぎる。


「何でだよ。言えないような仲なのか」

やっぱり、誤解してる?

「あの、そうじゃなくて、桜里は」

言葉に詰まる私に、城ノ内副社長が迫る。
皆の前だというのに、触れる程近くまで顔を寄せて。

彼の顔が、更に近づく。
このままだと本当に私に触れそう。


「なあ」

「本当にっ!無理なんですっ!」

「雪姫」



「だって、罰金なんですもん!!」



私の叫び声に。

「「はあ?」」

城ノ内副社長と真野社長の声が重なった。
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