君の名を呼んで
**

「雪姫っ!」


病院で診察を受けていた私は、駆け寄ってきた彼の姿に一気に感情が溢れ出た。
思わず縋り付けば、皇は私を受け止めて身体に視線を走らせる。

「皇……!!」

「お前怪我は」

確かめるように私の頬に触れて、彼が問いかけた。
それに首を横に振って、私は訴える。

「無い、私は何ともない!でも、蓮見君が」

ここに運ばれたときには、蓮見君は意識不明だった。
どんな状態かもわからないまま、私は念のため検査を受けることになって彼とは離されたのだけれど。

「私を庇ってくれたの!蓮見君は、逃げられたのに……」


あの建材は、私のほうに倒れて来た。
そのままだったら無事だったはずの蓮見君は、私を助けてくれて、自分が下敷きになったんだ。
赤いものが滲む、あの瞬間を思い出すと、身体が震える。


「どうしよう、どうしよう、皇」


ぼろぼろと泣く私を抱き締めて、皇は囁く。

「とにかく、お前が無事で良かった。蓮見なら大丈夫だ」

彼の言葉に確信が込められているのを感じて、顔を上げた。


「今真野が行ってる。命に別状は無いそうだ」

「ほ、ほんとう?」

「ああ」


しっかりと頷く皇を見て。
やっと息をつく。

良かった……!
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