君の名を呼んで
時間は有効に使え
それから何日か経って。
私はだいぶ朔のマネージャーとしてのペースを掴みつつあった。
その日は朔のドラマ撮りが予定よりかなり早く終わって、私は空いた時間に資料を取りに行こうと会社へ戻ってきた。
彼のてんこ盛りスケジュールのおかげで、朔の送迎と現場を行ったりきたりしていたから、なんだか久しぶりの会社。
「ん~と、あれも持っていこうかな」
資料室の奥で棚を見上げていたら、“ガチャ”とドアが開く音がして、誰かが入ってくる。
私が居る場所は結構奥で、そのまま入り口は見えない。ということは、向こうからも然り。
「どうして?名前くらい呼ばせてくれてもいいでしょ?」
「最初に言っただろ」
――城ノ内副社長。
……と、女性社員。
うわああ、なんだか嫌な予感がびんびんします……。
二人は私に気付かずに話をし始めてしまった。
城ノ内副社長の舌打ちが聞こえる。
「嫌いなんだよ。
自分の名前も、そんなくだらねぇことで俺を支配したような気になってる女も」
……やっぱり、副社長の思考ってよくわからない。
だけど。
なぜか淋しい。
誰とでも肌を重ねるくせに、誰にも心を見せないみたいでーー。
触れられない、壁があるようでーー。
「つまんないこと言ってないで、時間はもっと有効に使え」
城ノ内副社長の苛立たしげな声と。
衣擦れの音。
……って待って待って!!
なんかコトをおっぱじめようとしてない!?
いくらなんでもここで全て見聞きできるほど、私は図太くない。
私はだいぶ朔のマネージャーとしてのペースを掴みつつあった。
その日は朔のドラマ撮りが予定よりかなり早く終わって、私は空いた時間に資料を取りに行こうと会社へ戻ってきた。
彼のてんこ盛りスケジュールのおかげで、朔の送迎と現場を行ったりきたりしていたから、なんだか久しぶりの会社。
「ん~と、あれも持っていこうかな」
資料室の奥で棚を見上げていたら、“ガチャ”とドアが開く音がして、誰かが入ってくる。
私が居る場所は結構奥で、そのまま入り口は見えない。ということは、向こうからも然り。
「どうして?名前くらい呼ばせてくれてもいいでしょ?」
「最初に言っただろ」
――城ノ内副社長。
……と、女性社員。
うわああ、なんだか嫌な予感がびんびんします……。
二人は私に気付かずに話をし始めてしまった。
城ノ内副社長の舌打ちが聞こえる。
「嫌いなんだよ。
自分の名前も、そんなくだらねぇことで俺を支配したような気になってる女も」
……やっぱり、副社長の思考ってよくわからない。
だけど。
なぜか淋しい。
誰とでも肌を重ねるくせに、誰にも心を見せないみたいでーー。
触れられない、壁があるようでーー。
「つまんないこと言ってないで、時間はもっと有効に使え」
城ノ内副社長の苛立たしげな声と。
衣擦れの音。
……って待って待って!!
なんかコトをおっぱじめようとしてない!?
いくらなんでもここで全て見聞きできるほど、私は図太くない。