君の名を呼んで

エアリエルのイベントは大成功をおさめ、日本店舗は大盛況となった。
そして今日は、桜里がイギリスに戻る日ーー。


「元気でね、桜里」

笑顔で言う私に、彼が複雑そうに笑う。

「おや、もう行かないでって、泣いてくれないんですか?」


子供の頃を思い出す。
あの時とは、全然違う別れ。


「そうよ、だってもう大人だし。また、会えるでしょ?」

「えぇ、日本店舗の視察もありますし、ちょくちょく帰ってきますよ」

ニッコリそう言う桜里に、私の隣に居た皇が舌打ちした。

「もう来るな」

嫌ってるなあ。

「君ね、仮にも恋人の父親に、他に言うことは無いんですか?」

呆れた顔した桜里に、何か思いついたように皇がニヤリと笑った。
片手を腰に当てて、尊大に言い放つ。



「ーー娘さんをください。

……とか?」



今、絶対ドーンッて効果音鳴ったわ。


桜里が氷点下ブリザード吹き荒れる、怖~い笑顔で口を開く。

「全力でお断りします。というか、一回死んで下さい」

もう、何て言っていいか。
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