君の名を呼んで
辞表を出せ
騒動の果てに、結局私はBNPに居残った。
城ノ内副社長にグチャグチャにされた辞表は、当然すぐにゴミ箱行きだったらしい。
真野社長も、すずや朔も、温かく迎えてくれた。
一度は離れることを決心した職場。
でも戻れた今となっては、前よりずっと仕事が楽しくて、ここに居られることが嬉しい。
今はドラマの撮影現場。
メイク中のすずを待っているところ。
朔は元からだけれど、彼女はエアリエルのCMで飛躍的に知名度が上がり、その演技を評価されて、ドラマや映画のオファーが殺到していて。すずは時間が許す限り全ての仕事を受けていた。
「すずちゃん、支度できた?」
スタッフに呼ばれて、私はメイク中のすずを見る。
彼女は仕事の忙しさに目の下にできたクマを物凄く気にしていた。
「すみません、もう終わりますから」
頭を下げたなら、助監督は腕時計を見て催促する。
「大丈夫だよ、今はCGとかで何とでもなるからさ~」
あ、禁句。
後ろですずが何かを握り締めたらしい、バキッという破壊音が響く。
彼が出ていった後、
「あのアホ助監督め、絶対に後処理なんかさせないんだからあ!」
すずが悔しそうに言って、オネエ口調のイケメンヘアメイク、新城さんが頷く。
「全く失礼しちゃうわよね。安心してよ、すずちゃん。アタシと照明のミナミちゃんに任せときなさい」
みんなプロ。
そんな人達が集まって、一つの作品を作る。
その一体感が、好き。
そう思えたのも、城ノ内副社長のおかげだけど。
城ノ内副社長にグチャグチャにされた辞表は、当然すぐにゴミ箱行きだったらしい。
真野社長も、すずや朔も、温かく迎えてくれた。
一度は離れることを決心した職場。
でも戻れた今となっては、前よりずっと仕事が楽しくて、ここに居られることが嬉しい。
今はドラマの撮影現場。
メイク中のすずを待っているところ。
朔は元からだけれど、彼女はエアリエルのCMで飛躍的に知名度が上がり、その演技を評価されて、ドラマや映画のオファーが殺到していて。すずは時間が許す限り全ての仕事を受けていた。
「すずちゃん、支度できた?」
スタッフに呼ばれて、私はメイク中のすずを見る。
彼女は仕事の忙しさに目の下にできたクマを物凄く気にしていた。
「すみません、もう終わりますから」
頭を下げたなら、助監督は腕時計を見て催促する。
「大丈夫だよ、今はCGとかで何とでもなるからさ~」
あ、禁句。
後ろですずが何かを握り締めたらしい、バキッという破壊音が響く。
彼が出ていった後、
「あのアホ助監督め、絶対に後処理なんかさせないんだからあ!」
すずが悔しそうに言って、オネエ口調のイケメンヘアメイク、新城さんが頷く。
「全く失礼しちゃうわよね。安心してよ、すずちゃん。アタシと照明のミナミちゃんに任せときなさい」
みんなプロ。
そんな人達が集まって、一つの作品を作る。
その一体感が、好き。
そう思えたのも、城ノ内副社長のおかげだけど。