君の名を呼んで
「はいっ!!終わりです、帰りますよ!ーー皇っ!!!」

やけになった私の叫び声は、思ったほどロビーに響き渡った。

フッと彼の顔が笑みをかたちどって。
私につかつかと歩み寄った。

私が彼の名を呼んだことに驚愕していた周りの女性陣は、それに反応できずに取り残されて。


「はい、よくできました」


目の前まで来た皇が、私の頭にキスを落としたーー。


「「「きゃあああっっ!!!」」」


驚愕と、怒りに満ちた悲鳴。
ああああ、明日からどうすんのよおおお!!!

私はこのあとの事態に頭を抱えながらも。

「皇~っ。どうすんですか!明日から私出社できません!」

「ほっとけ」

「いいんですか、お姉様方」

「いいんだよ、お前だけいれば」

「……っ!」


だけどやっぱり。

ちょっぴり、嬉しかった。
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