君の名を呼んで
副社長は余裕に満ちた目で、私を見下ろして。
「止めてやってもいい。お前が俺を好きだって言うならな。それとも朔のほうが良いか?」
……なんだその、完全上から目線。
しかも何なのその理屈。
なんで朔が出てくるの。
考えろ、雪姫。
ここで失敗したら、今後の私の生活は真っ黒。
う~ん。
ピコーン!
(シンキングタイム終了)
結論。
『私、からかわれてる』
よし。
「朔は関係ありません。女ったらしは嫌いです。
“その他大勢”になるなんて、ごめんです」
冷たく言った筈なのに。
彼はふっと微笑んだ。
「それ、好きって言ってるのと同じだろ」
城ノ内副社長の言葉に、内心ドキッとしたけれど、なんとか顔に出さずにやり過ごした(つもり)。
「ナルシストフィルターで変換しないで下さい。脳のウィルス除去したほうがいいですよ」
「梶原雪姫は素直じゃないな。お前なら俺が専属マネになってやってもいいのに」
「そんな特別待遇は要りません。私はマネする側ですから、城ノ内副社長」
イヤミを込めて。
名字と肩書きで呼んでやる。
「残念だなあ、雪姫」
どくん、と心臓が跳ねたのは。
近すぎる彼の艶めいた視線と、煙草の香りに酔ったからじゃなく、単にまた名前をいきなり呼ばれたからだと。
そう、思いたかった。
「止めてやってもいい。お前が俺を好きだって言うならな。それとも朔のほうが良いか?」
……なんだその、完全上から目線。
しかも何なのその理屈。
なんで朔が出てくるの。
考えろ、雪姫。
ここで失敗したら、今後の私の生活は真っ黒。
う~ん。
ピコーン!
(シンキングタイム終了)
結論。
『私、からかわれてる』
よし。
「朔は関係ありません。女ったらしは嫌いです。
“その他大勢”になるなんて、ごめんです」
冷たく言った筈なのに。
彼はふっと微笑んだ。
「それ、好きって言ってるのと同じだろ」
城ノ内副社長の言葉に、内心ドキッとしたけれど、なんとか顔に出さずにやり過ごした(つもり)。
「ナルシストフィルターで変換しないで下さい。脳のウィルス除去したほうがいいですよ」
「梶原雪姫は素直じゃないな。お前なら俺が専属マネになってやってもいいのに」
「そんな特別待遇は要りません。私はマネする側ですから、城ノ内副社長」
イヤミを込めて。
名字と肩書きで呼んでやる。
「残念だなあ、雪姫」
どくん、と心臓が跳ねたのは。
近すぎる彼の艶めいた視線と、煙草の香りに酔ったからじゃなく、単にまた名前をいきなり呼ばれたからだと。
そう、思いたかった。