君の名を呼んで
『その企画なら、うちのタレントを使って下さい。必ずイメージぴったりの最高の仕事をしますから』
『けどねぇ、城ノ内君。もうアレは大手事務所のアイドルに決まってるんだよ。BNPさんは出来たばかりだし、焦ることないでしょ』
『一度見るだけでもお願い出来ませんか。実力は確実なんです』
「彼の一生懸命な姿を見て、真摯な姿を見て、自分が恥ずかしくなりました。それで、子役時代に私を守ってくれたマネージャーを思い出して、BNPへの就職を目指しました」
まさかそんな時を見られていたなんて。
雪姫がBNPに面接に来たのは、偶然じゃなかったのか。
俺の考えていたことを察して、雪姫が微笑む。
「私達、お互いがお互いの人生に影響していたのね」
たまに見せる、妙に落ち着いた、こいつらしくないーー色香のある顔で。
不覚にも、心臓が大きな音を立てた。
「城ノ内副社長はBNPに無くてはならない人です。
誰よりもタレント一人一人の事を考えて、彼らの魅力を引き出して、最高の仕事をさせてあげる。私はそんな彼を尊敬して、ここまでついてきました。皇が“コウ”であった時間も、私が子役であった時間も、今の私達に必要だったんです。
今の私達は、自分を誇れる。意味無くなんてないんです」
雪姫の言葉に、母も父も押し黙った。
こんなにもこの両親の真剣な顔を見たことなんてあっただろうか。
やっぱり、お前は凄いな。
「だから」
雪姫。
鈍感で、強情で、よく泣く馬鹿オンナだけれど。
「私を皇に出会わせて下さって、ありがとうございます」
お前を、愛してる。
『けどねぇ、城ノ内君。もうアレは大手事務所のアイドルに決まってるんだよ。BNPさんは出来たばかりだし、焦ることないでしょ』
『一度見るだけでもお願い出来ませんか。実力は確実なんです』
「彼の一生懸命な姿を見て、真摯な姿を見て、自分が恥ずかしくなりました。それで、子役時代に私を守ってくれたマネージャーを思い出して、BNPへの就職を目指しました」
まさかそんな時を見られていたなんて。
雪姫がBNPに面接に来たのは、偶然じゃなかったのか。
俺の考えていたことを察して、雪姫が微笑む。
「私達、お互いがお互いの人生に影響していたのね」
たまに見せる、妙に落ち着いた、こいつらしくないーー色香のある顔で。
不覚にも、心臓が大きな音を立てた。
「城ノ内副社長はBNPに無くてはならない人です。
誰よりもタレント一人一人の事を考えて、彼らの魅力を引き出して、最高の仕事をさせてあげる。私はそんな彼を尊敬して、ここまでついてきました。皇が“コウ”であった時間も、私が子役であった時間も、今の私達に必要だったんです。
今の私達は、自分を誇れる。意味無くなんてないんです」
雪姫の言葉に、母も父も押し黙った。
こんなにもこの両親の真剣な顔を見たことなんてあっただろうか。
やっぱり、お前は凄いな。
「だから」
雪姫。
鈍感で、強情で、よく泣く馬鹿オンナだけれど。
「私を皇に出会わせて下さって、ありがとうございます」
お前を、愛してる。