君の名を呼んで
芸能プロダクションの名物な、鬼畜副社長と毒舌マネージャーの結婚式なんて、もちろん普通に済むわけがない。
人前式スタイルといいつつも、集まってくれた人達は、それぞれの素敵な能力まで持ち寄ってくれた。
撮影所の広い広いステージを貸し切ってくれた真野社長。

「城ノ内のニヤケ顔が見られるって言ったら、二つ返事で貸してくれたよ」

撮影スタッフは、

「雪姫ちゃんの為に投光器借りてきた~。バッチリスポットライト当ててあげるね、雪姫ちゃんだけに!」

と言って皇にイーッとか歯を剥いていたり。

「花火上げようぜ、むしろナパーム弾にする?」

とかなんとか、やや危険区域に夢をひろげて。


私を飾り立ててくれた、ヘアメイクの新城さんは

「梶原~可愛いじゃないのよ!アタシの仕事最高!」

とか何とか、もはや自画自賛になり。


舞華さんはアルコールが入って陽気になったのか、

「てんとう虫のサンバ、オペラバージョンいきまーす」

なんて歌い出す。


帝さんは

「えー皇と雪姫ちゃんの愛の軌跡を見ていただきましょう。
俺作成のフルCGムービーでお楽しみ下さい」

なんて嘘八百なプロフィールムービーを作って皇に蹴られた。

総合司会は朔で、ブライズメイトよろしく、私にピッタリくっついてくれるすず。

蓮見君達ジェイズのミニライブまであって、豪華すぎる。

一般人であるはずの冴木夫妻は芸能人に負けず劣らずキラキラ美しくて、やたら寄ってくるスカウトやナンパに旦那様の鉄拳が奮われたよう。姉であるモデルのレナさんがやれやれと囃したててるのがスゴイ。


そんな大騒ぎの中、は桜里と皇と腕を組んで両手に花状態で入場し、


「おめでとうー!!」


やっぱり浮かんでしまった涙と、
ありったけの笑顔で、


「ありがとうございますっ!!」

と、叫んだなら、皇が私を抱き上げた。

「おぉ~っ」

とどよめく一同に、私は真っ赤になりながら皇の首に抱きつく。



多分、人生で一番幸せな日。



私たちはそのまま
皆の笑顔と拍手喝采を浴びたーー。
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