君の名を呼んで
城ノ内副社長の居そうなところ。

総務のお姉さんに捕まってるか、
受付のお姉さんに捕まってるか、
はたまた打ち合わせにいらしたお姉さんに捕まっているか。

そんなことしか思いつかないけど、そのどれも違ったよう。

「居ないな~」

呟いて、ふと台本を見た。

『0015


#60』


「……あれ?」


見逃してた『#60』が下に小さく書いてあるのに気づく。

「シーン60……?」

台本をぱらぱらとめくってみた。
確か、シーン60は……。


「あ」


その箇所を読んで、私は思わず口元が緩んでいく。


「そっか……」


皇を探さなきゃ。

私はもうあちこちを覗き込む事はなく、真っ直ぐにそこへ向かう。


きっと、彼はあそこに居る。
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