君の名を呼んで
屋上庭園。
私のお気に入りの場所。
やっぱり、そこに彼は居た。
ベンチに横になって、後ろで組んだ手に頭を乗せてお昼寝中の様子。
いつも忙しい城ノ内副社長には珍しい。
近寄ると、ふ、と彼が笑う気配がした。
「鈍感女でも、ちゃんと気づいたか」
「ええ。気づきましたよ。……けどこれ、皇の台本ですか?」
「お前の分だ。改訂版」
その台本には、私が見たことの無かったシーンが追加されていた。
シーン60ーー。
主人公の男性が、恋人にプロポーズするシーン。
彼女のお気に入りの場所に呼び出して、想いを告げるんだ。
朔は知ってたのね。
「私のお気に入りの場所、まだ覚えててくれたんですね」
身を起こした城ノ内副社長は私を引き寄せる。
ベンチに座ったまま彼は私を膝の上に乗せた。
「社内ですよ」
「休憩時間だ」
周りに誰もいないこともあって、私もついついそれを許してしまう。
皇は私の手にしていた台本を開く。
シーン60を眺めて読み始めた。
「『お前が居ない人生なんて、もう考えられない。ずっと傍に居て欲しい』」
そこで台本を閉じて、皇は私を見つめる。
「愛してる」
ーー台本には、無い言葉。
私のお気に入りの場所。
やっぱり、そこに彼は居た。
ベンチに横になって、後ろで組んだ手に頭を乗せてお昼寝中の様子。
いつも忙しい城ノ内副社長には珍しい。
近寄ると、ふ、と彼が笑う気配がした。
「鈍感女でも、ちゃんと気づいたか」
「ええ。気づきましたよ。……けどこれ、皇の台本ですか?」
「お前の分だ。改訂版」
その台本には、私が見たことの無かったシーンが追加されていた。
シーン60ーー。
主人公の男性が、恋人にプロポーズするシーン。
彼女のお気に入りの場所に呼び出して、想いを告げるんだ。
朔は知ってたのね。
「私のお気に入りの場所、まだ覚えててくれたんですね」
身を起こした城ノ内副社長は私を引き寄せる。
ベンチに座ったまま彼は私を膝の上に乗せた。
「社内ですよ」
「休憩時間だ」
周りに誰もいないこともあって、私もついついそれを許してしまう。
皇は私の手にしていた台本を開く。
シーン60を眺めて読み始めた。
「『お前が居ない人生なんて、もう考えられない。ずっと傍に居て欲しい』」
そこで台本を閉じて、皇は私を見つめる。
「愛してる」
ーー台本には、無い言葉。