君の名を呼んで
「……っ、のうち、……くしゃちょ……っ」


彼を止めようと上げた声は、自分でも戸惑うほど途切れ途切れ。
絡みつく熱に頭がぼうっとしてきた。

「……ーー」

無意識に甘い声が響いて。

「エロ。ホントにAV出てみるか?」

……!

クッと漏れた彼の笑い声に、我に返った。
頭ボーって、それは酸欠だ、私!!

「い、息っ」

夢中で声を絞り出して、副社長の唇を離す。

「殺す気ですか!!」

「あぁ?息すんの忘れるくらいヨカッタのかよ」


――!!

この人、何なの!?

たちまち真っ赤になった顔を自覚しながら、城ノ内副社長を睨みつけた。

「何で、こんなこと……っ」

「お前は俺のもんだからだよ」

なんなのよ、その理屈は!

「だから私は、“その他大勢”になる気は……むっ!」

抗議しようとした私の言葉は、また副社長の強引なキスに阻まれた。


「だからそれ、お前が俺を好きって聞こえるって」

「そりゃ都合のいい耳ですね……っ、んむっ」

腰を抱く手が、後頭部を引き寄せる手が、私の全身から力を奪っていく。


「お前は“その他大勢”じゃねぇよ」


城ノ内副社長が私を見つめて囁いた。



「俺の

一番お気に入りの

オモチャ」



残酷なくらい、色気に満ちた表情でニヤリと笑う、悪魔。
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