君の名を呼んで
案の定、私と城ノ内副社長二人きりの車内は妙な沈黙に包まれ、居心地が悪くて仕方ない。
彼もこうなるって分かってるはずなのに。
なにか話題を探そうとした、私の隣で、
「お前、昨日大丈夫だったのかよ」
城ノ内副社長がポツリと呟いた。
「……え?」
私は思わず副社長を見てしまう。
「いきなり居なくなって、体調不良とかで早退されてみろ。そりゃ心配するだろ」
あぁ、そうだよね。しかもあんなことの後じゃ。
「すみません……」
他に言いようが無くて、私は彼に謝る。
城ノ内副社長が煙草を取り出しかけて、止めた。
「お前の荷物を取りにきたのは朔だった。……昨日はアイツに送って貰ったのか」
ぎくり、と身を固くした私に、副社長が気がつかないはずがない。
謹慎中だったのに、浅慮だと咎められるのが怖くて、ついビクビクとしてしまう。
「はい、偶然会って!凄く心配掛けてしまったみたいで」
私の言い訳を遮るように、つい、と。
副社長の指先が私の首筋に触れた。
……正しくはスカーフの下の、痕に。
「お前は誰のモノだよ?」
……なんで?
まるで嫉妬してるみたい。
ありえないのに。
「……あなたこそ、誰のものにもならないくせに」
私の口から静かに零れた言葉に、彼は目を見開いた。
「着きました。朔を連れてきます」
その顔をまともに見返すのが怖くて、私はまた、逃げ出した。
彼もこうなるって分かってるはずなのに。
なにか話題を探そうとした、私の隣で、
「お前、昨日大丈夫だったのかよ」
城ノ内副社長がポツリと呟いた。
「……え?」
私は思わず副社長を見てしまう。
「いきなり居なくなって、体調不良とかで早退されてみろ。そりゃ心配するだろ」
あぁ、そうだよね。しかもあんなことの後じゃ。
「すみません……」
他に言いようが無くて、私は彼に謝る。
城ノ内副社長が煙草を取り出しかけて、止めた。
「お前の荷物を取りにきたのは朔だった。……昨日はアイツに送って貰ったのか」
ぎくり、と身を固くした私に、副社長が気がつかないはずがない。
謹慎中だったのに、浅慮だと咎められるのが怖くて、ついビクビクとしてしまう。
「はい、偶然会って!凄く心配掛けてしまったみたいで」
私の言い訳を遮るように、つい、と。
副社長の指先が私の首筋に触れた。
……正しくはスカーフの下の、痕に。
「お前は誰のモノだよ?」
……なんで?
まるで嫉妬してるみたい。
ありえないのに。
「……あなたこそ、誰のものにもならないくせに」
私の口から静かに零れた言葉に、彼は目を見開いた。
「着きました。朔を連れてきます」
その顔をまともに見返すのが怖くて、私はまた、逃げ出した。