君の名を呼んで
それが俺の仕事だ
城ノ内副社長の家なんて、私には縁の無い場所だと思っていた。
いつも送迎の時は駐車場までだから、この部屋に上がるのは初めて。
「なんだか副社長らしい部屋ですね」
リビングはモノトーンでまとめられ、極端に家具が少ない。
なのにその広いスペースを埋め尽くす本、CD、DVDの収まった棚。
「これ、全部仕事の資料ですか……?」
凄い。
偉そうなことを豪語するだけある。
城ノ内副社長は、ちゃんとそれに見合う努力をしているんだ。
「あ、氷崎甲斐の写真集だ。私も好きですよ、このカメラマン」
「キョロキョロしてないで座ってろ」
副社長はそう言うとキッチンへ向かう。
「コーヒーでいいよな」
「えっ、はい!!」
どうやらコーヒーを煎れてくれるらしい。
そんなことをしてくれる彼なんて想像できなかったから、目の当たりにすると失礼ながら幻覚?とか思ってしまうわ。
そのとき、私のバッグから携帯のバイブが鳴り響いた。
“着信・藤城すず”
「すず……?」
出ていい、と視線を寄越した副社長に頭を下げて、通話ボタンを押す。
「もしもし?」
『うわああん、雪姫ちゃあん!もうダメだよ~、仕事したいよ~!
みんなに忘れられちゃうよ~!!』
電話の向こうから飛び出した、やや高めの可愛らしい声。
いつも送迎の時は駐車場までだから、この部屋に上がるのは初めて。
「なんだか副社長らしい部屋ですね」
リビングはモノトーンでまとめられ、極端に家具が少ない。
なのにその広いスペースを埋め尽くす本、CD、DVDの収まった棚。
「これ、全部仕事の資料ですか……?」
凄い。
偉そうなことを豪語するだけある。
城ノ内副社長は、ちゃんとそれに見合う努力をしているんだ。
「あ、氷崎甲斐の写真集だ。私も好きですよ、このカメラマン」
「キョロキョロしてないで座ってろ」
副社長はそう言うとキッチンへ向かう。
「コーヒーでいいよな」
「えっ、はい!!」
どうやらコーヒーを煎れてくれるらしい。
そんなことをしてくれる彼なんて想像できなかったから、目の当たりにすると失礼ながら幻覚?とか思ってしまうわ。
そのとき、私のバッグから携帯のバイブが鳴り響いた。
“着信・藤城すず”
「すず……?」
出ていい、と視線を寄越した副社長に頭を下げて、通話ボタンを押す。
「もしもし?」
『うわああん、雪姫ちゃあん!もうダメだよ~、仕事したいよ~!
みんなに忘れられちゃうよ~!!』
電話の向こうから飛び出した、やや高めの可愛らしい声。