君の名を呼んで
呆れ顔でこちらを見た副社長は、ふと思いついたようにニヤリと笑った。

「夢かどうか、確かめてみるか?」

「……け、け、結構です」

なんかモノっすごく、身の危険を感じるんですけどっ!

「まあまあそう言わず。
……夢見心地にさせてやるぜ?」

その、妖しすぎる瞳が。

「全っ力でお断りしますっ!!!」

私を追い詰める――。


「お前はとことん手こずらせる女だな。思い込み激しいし」

「副社長が私をオモチャとか言うからじゃないですかっ!!あれで分かれっていうほうが無茶ですよ!」

泣きまくった私の水分返して欲しい!

「お前は、肝心なとこが抜けてるよな。……まあ、馬鹿な子ほど可愛いもんだけど」


その言葉に思わず固まる私を見て、副社長はまたクスクスと意地悪く笑った。
……そんな顔も格好いいなんて、思ったらダメよ、雪姫!


「泣かせた分、ご奉仕しようか?

思う存分、鳴かせてやるよ」


だれか。
この人を止めて。

……私の心臓が大爆発する前に。
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