君の名を呼んで
決めるのは俺だ
*
何日かの休養をもらった後に、私は無事に仕事に復帰し、今日は朔の初主演映画の初号試写――。
スタッフとキャスト、関係者だけの試写とはいえ、私は緊張しまくり。
「やっと完成、だね」
隣に座る朔を見たなら、彼はにっこり微笑んで私を見た。
「雪姫に観てもらいたかったから、一緒に来られて良かったよ」
さりげなく手を重ねられて、ちょっぴりドキッとしてしまったなら。
『ガン!』
後ろから朔の座席を蹴る男性。
「……ガラ悪いですよ、城ノ内さん」
朔が振り返ってたしなめた。
「ああ悪かったな。脚が長いもので」
当の本人は全く堪える様子がない。
……ここ、試写室なんですけど!!
幸い彼の周りは空いていて、誰にも気付かれなかったようだけど、うちの会社の評判落としたらどうしてくれるんだ。
更に城ノ内副社長は私に顎で命令。
「雪姫、こっちに来い」
自分の隣を指す。
「え、え?」
「馬鹿、そんなド真ん中の良い席は、主演の朔と監督の席だ」
あ、ああそういうことか。
びっくりした、嫉妬かと思っちゃった……。
朔が笑いを堪えているのが妙に気になるけど。
私はそそくさと城ノ内副社長の隣に移動した。
「では始めまーす!」
担当プロデューサーの挨拶と共に、照明が落とされる。
何日かの休養をもらった後に、私は無事に仕事に復帰し、今日は朔の初主演映画の初号試写――。
スタッフとキャスト、関係者だけの試写とはいえ、私は緊張しまくり。
「やっと完成、だね」
隣に座る朔を見たなら、彼はにっこり微笑んで私を見た。
「雪姫に観てもらいたかったから、一緒に来られて良かったよ」
さりげなく手を重ねられて、ちょっぴりドキッとしてしまったなら。
『ガン!』
後ろから朔の座席を蹴る男性。
「……ガラ悪いですよ、城ノ内さん」
朔が振り返ってたしなめた。
「ああ悪かったな。脚が長いもので」
当の本人は全く堪える様子がない。
……ここ、試写室なんですけど!!
幸い彼の周りは空いていて、誰にも気付かれなかったようだけど、うちの会社の評判落としたらどうしてくれるんだ。
更に城ノ内副社長は私に顎で命令。
「雪姫、こっちに来い」
自分の隣を指す。
「え、え?」
「馬鹿、そんなド真ん中の良い席は、主演の朔と監督の席だ」
あ、ああそういうことか。
びっくりした、嫉妬かと思っちゃった……。
朔が笑いを堪えているのが妙に気になるけど。
私はそそくさと城ノ内副社長の隣に移動した。
「では始めまーす!」
担当プロデューサーの挨拶と共に、照明が落とされる。