バント的な…
次の日も父は浮かない顔をしていた。


父を見送って、母と顔を見合わせてしまった。


もしかすると父は解っていたのかもしれない。

真鍋さんの心配する気持ちと、真鍋さんを羨む気持ち…



相変わらず父は真面目に出勤していたが、その日を境に考え込む姿が目立つ様になった。

時折


送りバントか…


と呟いている。


母と私はあえて、声をかけない様にした。



普段と変わらない父がそこにはいた。


しかし絶対に何かがおかしい。


予感は的中。


ほどなくして、父の不可解な行動が始まった。



父は朝いつも通り出張して、いつも通り帰って来た。


夕飯を食べ、風呂に入る。


しかし夜12位になるとコンビニへ行くと言って、出掛けて行く。

初めは2週に1度程。

次第に回数は増え、週に3度も行く様になった。


そればかりか、2時間も帰って来ない日さえあった。


元々コンビニがあまり好きでは無い父…


そんな父が頻繁に行くのは不自然で仕方無かった。


母と問い詰めると、


ジョギングに行く…

タバコを買いに行く…

こんな調子でいつも、父ははぐらかす。


母があまりに心配するので、私は父の後を付けた。


するとコンビニを通り過ぎ、父は驚きの場所に入って行った。



私は黙って1時間半、父が出て来るのを待った。


父は真っ直ぐ家に帰った。



益々不可解極まりない。


次の日父を見送り、休みだった私は昨日見た事を母に報告した。


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