双龍の花嫁
1-1 斬劇
「はらへったなあ」
あたたかい陽気の中、緑が生い茂る山の中の街道を歩く女剣士の左手から声が聞こえる。
よく見ると、うっすらと黒い影、というかもやが見える。
「我慢しなさい、あと少しで村に着くはずよ」
女剣士は歩きながら話している。
はたから見ると独り言を言っているようだ。
「村に着けば何か家畜でも分けてもらえるだろう」
「げえ、またかよぉ。たまには人間くいてえなぁ」
「その言葉、聞き捨てならんな」
今度は、女剣士の腰にさしてある太刀から声がする。
「うるせえよ。おれはてめえと違って食べないと生きていけないの。村に着いたらまずは人間の下見と…」
「強欲な邪竜め、斬る!」
そう言って、太刀はひとりでに鞘から飛び出そうとする。
「やめなさい二人とも。もうそろそろ村に着くから、人前であんたたちの姿を見せたくないんですけど」
「御意」
「ち、わかってるよ」
その後ほどなくして村が見えてきた。
山の中にしてはかなり大きな村だ。
周りにはだんだんの畑があり、遠くには牛が放牧されている。
しかし、その村の端々から煙が上がっていた。
あたたかい陽気の中、緑が生い茂る山の中の街道を歩く女剣士の左手から声が聞こえる。
よく見ると、うっすらと黒い影、というかもやが見える。
「我慢しなさい、あと少しで村に着くはずよ」
女剣士は歩きながら話している。
はたから見ると独り言を言っているようだ。
「村に着けば何か家畜でも分けてもらえるだろう」
「げえ、またかよぉ。たまには人間くいてえなぁ」
「その言葉、聞き捨てならんな」
今度は、女剣士の腰にさしてある太刀から声がする。
「うるせえよ。おれはてめえと違って食べないと生きていけないの。村に着いたらまずは人間の下見と…」
「強欲な邪竜め、斬る!」
そう言って、太刀はひとりでに鞘から飛び出そうとする。
「やめなさい二人とも。もうそろそろ村に着くから、人前であんたたちの姿を見せたくないんですけど」
「御意」
「ち、わかってるよ」
その後ほどなくして村が見えてきた。
山の中にしてはかなり大きな村だ。
周りにはだんだんの畑があり、遠くには牛が放牧されている。
しかし、その村の端々から煙が上がっていた。