双龍の花嫁
「なんだとぉ!もう出すものが無い?」

「はい、もうお金になる物はすべて差し出しました」

山賊の頭は大声をあげる。

村長はびくつきながらも、なんとか被害が少なくなるように頑張っていた。

村は山賊に襲われていた。

これが最初ではない。過去にも何度か襲われている。

もう村には宝石も金もない。あるのは生活する道具と食料だけだ。

「ふん、だったら牛だ、あれでも売れば金になるだろ?」

「そんな、あれは、村の生活にはなくてはならないものです」

「そんなの知ったことか!お前、立場わかってんのか?お前らには最初から拒否権なんてないんだよ!おめえら、牛とって来い!」

「へーい」

山賊達はばらばらと牧場へ向かった。

「待ってください、あれだけは!」

村長は頭にすがりつく。

「うっとうしいんだよ!」

「うっ!」

村長は頭に張り倒される。

「村長!」

村人たちが村長に駆け寄る。

「死にたくなければそこで黙ってろ!」

「うう」

頭にすごまれて声も出ない村長。

村人たちも抵抗しなかった。

山賊の方が数も多いうえに、村人たちは武器を持たず、ただいいように荒らされるしかなかった。

が、そんな中、唐突に頭に向かって石が投げつけられた。

「な、なにしやがる!」

「テレサ!」

一人の少女が投げつけたのだ。

「早く出て行きなさいよ!この豚野郎!」

「ぶ、豚だとう!」

頭の顔は鼻がつぶれて豚にそっくりだ。

「やめなさいテレサ!」

村長は少女を抱き止める。

しかし、少女は止まらない。

「好き勝手やりやがって!」

そう叫びつつまた石を投げる。

「いて、こんのがきゃあ!」

頭は怒りしんとうして少女に襲いかかろうとする。

しかし、その直前に乱入者が現れた。
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