冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う
「今着ているドレスでいい。もう、どれでもいいや」
紬さんの胸に体を預けほっとしている自分に驚きながらも、これが『入籍効果』なのかとあきらめまじりの声でそう言った。
「そうだな。かなり似合ってるし俺好み。じゃ、これにしよう。で、色ドレスと白無垢、色打掛はどれにする?」
「え……?」
まだ、他にも選ばなきゃいけないの?
「俺が目をつけている色ドレスは淡いピンクでパールがどっさりついてるミニなんだけど。
とりあえず着てみるか?瑠依に似合うと思うんだけど。で、白無垢と色打掛は……」
「あ、紬さん……。も、もうどれでもいいから、勝手に決めて」
弾むような声で次から次へと衣装の話を進める紬さんを慌てて遮る。
「私、もう疲れたし、正直ドレスはなんでもいいから、紬さんが決めて。
髪型も何もかも、任せるし、逆らわないから」
「は?なんでもいいなら、俺の好みをぶちこんで、勝手に決めるぞ」
「いい。それでOK」
紬さんからそっと体を起こして視線を上げると、嬉々とした男前が間近で私を見つめている。
私の体に這わせる手に遠慮も何もなく、ぐっと近づいたその顔からは『離さない』と呪文でも唱えているような強い思いが見えて。
「あ、あの……紬さん?」