冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う
そんな瑠依との新婚旅行は、俺が仕事から離れられる限度一杯の一週間。
それを計画してからずっと、仕事を前倒しして必死でこなしてきた。
結婚式と新婚旅行の為の休暇をとるために追われる仕事の量は半端なものではない。
これまでも、近い将来社長として会社を背負う事を当然だと受け止めつつ、それに見合う実績を残す為に必死で努力を重ねてきた。
親の七光りと言われる事に慣れてはいるものの、その言葉の鋭さがほんの少しでも瑠依の心を傷つける事がないよう、周囲から何も文句は言わせないよう築いてきたものは、俺が俺の努力によって得た誇り。
社長職にこだわるわけではない。
一人の社員として研究だけに没頭したいという気持ちもあるが、周囲はそれを許してくれない。
それに、社長でなければなしえないものも多い。
新薬の研究開発のスピードをあげて、それを必要としている方に一刻も早く届けたい。
それを実現するために、社長になるといっても過言ではない。
幸いなことに、これまでわが社の業績は右肩上がりで成長を続けている。
その流れを止めないよう、俺は必死で頑張るつもりだ。
そのことが俺の妻として生きていかなければならない瑠依の幸せと笑顔に繋がると信じている。