冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う
私は紬さんの腕の中で身動きが取れないまま、この赤い華はわざとつけられたんだ、と唇をかみしめた。
確かに夕べ……私は紬さんに求められ、思い通りに乱された。
同居を始めるまで、キス以上のことをしようとしなかった紬さんの気持ちがわからなくて、不安で仕方がなかったのが嘘のようだ。
昨夜、紬さんに初めて抱かれ、自分の体ではあっても自分の意志とは無関係の反応を示すことに恥ずかしさと歓びを感じた。
『籍を入れて俺の奥さんにするまでは、手を出せなかった』
私を抱いた後、苦しげな吐息と共にそう言った紬さんは、それ以降飽きることなく私を翻弄し続けている。
指先でするりとなぞられるだけで体は震え、普段は誰にも見せない蜜な場所ですら言われるがままに開いてしまう。
力強く突き刺さる楔に喘ぎ、私を抱き寄せる彼の背中に爪を立てる。
私の体に咲く赤い華に負けないほどくっきりと残る赤い爪痕。
紬さんの背中に残るそれは、私が乱れた証だ。
仕事で疲れた体とは思えないほどの貪欲さで、私の全てを貪りつくした紬さん。
彼の些細な動きに私は虜になり、もうこの体から離れられないのではないかと思うほどの快感を教え込まれた。