冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う




「さ、彩也子さん、いい加減にして」

「ふふっ。きっと、大喜びするわよ。瑠依ちゃんを愛している二人の男性に、早速届けてあげましょうね」

にやりと笑った彩也子さんは、スマートフォンを手早く操作し、満足そうに頷いた。

彩也子さんが何をしたのかは聞かなくてもわかる。

私の写真をおじい様と紬さんに送ったはずだ。

紬さん好みの服をまとった私の写真が、紬さんのもとへ、届けられたはず。

熱い感情が、指先から体中を巡って、逃げ場を失っている。

呼吸も浅く、鼓動は激しい。

「紬さん……気に入ってくれるといいけど」

ぽつり呟いた私の言葉に、彩也子さんも、店員さんも肩をすくめ柔らかな笑顔を浮かべた。


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