冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う
「あ……はい。えっと?」
修ちゃん、と口にする理美さんの顔はとても優しくて、その人の事をとても大切にしているんだと一目でわかる。
お見合いの日とは打って変わって、今日の理美さんは薄いオレンジのTシャツとジーンズ。
メイクだって簡単なもの。
軽くファンデーションを塗って、ほんのり赤みのあるルージュを乗せているだけの唇。
ストレートの髪は無造作に一つに束ねているだけで、特に気にかけているようにも見えない。
足を組み、タブレットを操作する仕草はどちらかと言えば格好よくて、あの日に見せられた、女性らし過ぎるものとはかなり違う。
あの日は自分の体を強調する服を着て、化粧だってかなり念入りに施していた。
そう言えば、言葉遣いだって今とは違うような気がする。
今の理美さんからは、女性というよりも男らしさすら感じてしまう。
目の前の理美さんをまじまじと見ていると、隣の紬さんが面倒くさそうな声をあげた。